化学的加工処理によるスギ曲り材利用技術の開発

−蒸煮圧縮成形技術による床材の開発−

 
 予算区分 県単              研究期間 平成8〜11年度
 担 当 課 製品開発課           担 当 者 藤澤泰士,鈴木 聡,鷺岡 雅
 
1.目  的
 蒸煮圧縮成形技術を用いて、軟質なスギ材から、表面硬度が高く、寸法安定性に優れた住宅内装用床材を開発する。
 
2.内容および方法
 蒸煮圧縮成形材に紫外線硬化型塗料(UV塗料)を塗装し、床材に求められる性能(耐摩耗性、表面硬度、耐汚染性、寸法安定性)について検討した。
 1)供試材料:タテヤマスギ気乾材、幅20×厚5×長300mm
 2)蒸煮圧縮条件:蒸煮温度140℃−1時間、固定温度160℃−30分、圧縮率50%
 3)UV塗料:溶媒タイプおよび非溶媒タイプ
 4)塗布方法:リバースロール塗布(塗布量20〜50g/m2)
 5)硬化方法:溶媒タイプUV塗料は40℃-1時間乾燥後、非溶媒タイプUV塗料は塗布直後に        紫外線照射装置(300〜390nm積算照射量:400mJ/cu)で硬化させた。
 6)評価項目:耐摩耗性、表面硬度、耐汚染性、寸法安定性
 
3.結果の概要
 1)蒸煮圧縮成形材へのUV塗料の塗装性を検討した結果、非溶媒タイプUV塗料は、ムラなく、  均一に塗装することができ、溶媒タイプUV塗料に較べて塗装性に優れていた。
 2)非溶媒タイプUV塗料を塗布し、硬化させた蒸煮圧縮成形材の表面性能は、耐摩耗性でフロ  ーリングJASの適合基準以上を示した。また、表面硬度は3H以上と非常に硬く、寸法変化  も少ないことから、住宅用床材として十分使用できることが確認された(表−1)。
 
 
              表−1 蒸煮圧縮UV塗装材の性能


 

摩耗減量1)
 

鉛筆硬度2)
 

耐汚染性3)
 

圧縮方向の
寸法変化4)

蒸煮圧縮成型材
蒸煮圧縮成形+UV塗装
 

 0.027g
 0.007g
 

3B未満
3H以上
 

  ×
汚染なし
 

 1.87%
 1.74% 
 
     1)フローリングJAS−摩耗A試験(1kg加重、500回での摩耗減量)
      2)塗料一般試験−塗膜抵抗性(JIS-k-5400)
     3)       〃     (  〃  )
     4)内装ボードの耐湿性試験(JIS-A-1437)
 
4.今後の課題
 1)パーケット床の作製(実大サイズ)、およびフローリング性能の評価
 2)製造マニュアルの作成およびコスト試算