地域材を利用した高信頼性構造用材の開発

−機能性床パネルの開発−

 
 予算区分 国補              研究期間 平成10〜14年度
 担 当 課 製品開発課           担 当 者 藤澤泰士,鷺岡 雅
 
1.目  的
 可変空間型住宅および高齢者住宅に対応した軽量で施工が容易なスギ材の床パネルを開発する。ここでは、スギ材の表層WPC(木材とプラスチックの複合体:Wood-Plastic-Component)化による表面硬度の向上および機能性(抗菌性等)の付与を検討する。
 
2.内容および方法
 ロールプレス機でスギ材表層を横圧縮した後、樹脂をスギ材表層のみに注入し、加熱硬化させる表層WPCの製造工程を確立した。
 1)供試材料:県産スギ、幅100×厚さ14.5×長さ900mm、含水率13%
 2)表層圧縮方法:ロールプレス機による表層圧縮処理(図−1,2)
 3)注入樹脂:飽和共重合ポリエステル樹脂(UE-3350、ユニチカ製)を有機溶媒(MEK(メチルエチルケトン),  MEK/トルエン,MEK/MIBK(メチルイソブチルケトン),トルエン/MIBKの4種類)に濃度25%で溶解した。また、硬化剤はHMDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)を活性水酸基量の0.5倍量添加した。
 4)表層WPCの製造方法:表層圧縮処理材の表面に、リバースコーターを用いて塗布量20〜50g/u、速度10m/minの条件で樹脂溶液を塗布し、室内にて24時間放置した後、150℃の加熱プレス板で10秒間硬化させ、表層WPCを作製した。
 5)評価項目:耐摩耗性、鉛筆硬度、デュポン衝撃強さ
 
 
 
 
 
 
 
        図−1 表層圧縮用ロールプレス機         図−2 表層圧縮の模式図
3.結果の概要
 1)ロールプレス機を用いた表層WPC製造の最適圧縮条件は、ロール温度:150℃、木材表面温度:室温、表層圧縮量:2mm、圧縮回数:1回、速度5〜15m/minであった。
 2)リバースコート塗布による表層への樹脂注入は、トルエン/MIBK溶媒を用いた場合に樹脂浸透  深さは最大となった(図−3)。
 3)適切な条件で製造された表層WPCは、フローリングJASの耐摩耗性の適合基準を満たしており、表面硬度、衝撃強さとも無処理材と比較して著しく向上した(表−1)。
 
表−1 表層WPCの性能

 
摩耗減量1)
 
鉛筆硬度
 
デュポン
衝撃強さ

無処理材

 0.02g

3B以下

0.049J

表層WPC
 

 0.00g
 


 

0.245J
 

    1)フローリングJAS摩耗A試験(1kg,500回摩耗減量)

 
 
 
4.今後の課題
 1)表層WPCへの長期耐久性付与(ポリエステル樹脂とメラミンとの重合)
 2)表層WPCへの抗菌性付与(ポリエステル樹脂への金属系抗菌剤の混合)