標題 | 著者名 | 巻数 | ページ | 発行年 | 抄録 |
製材品の寸法精度とその管理 〜製材工場の機械診断、基礎調査から〜 | 島崎鶴雄 | No.1 | 5-6 | 1992 | ここ数年の間に、木材をめぐる状況には大きな変化がみられます。建築基準法の改正によって木造の大型建築への道が開けたのもその一つですが、大型建築には構造設計が必要であり、これに対応するために寸法精度、含水率、強度性能を規定する構造用製材の新JASが制定されたことはご承知のとおりです。したがって、これからの製材品は工業材料としての精度や性能を保証することがますます重要になっていくと思います。ここでは、まずもっとも基本的なことの一つである製材の寸法精度向上対策について、これまで行ってきた巡回技術指導の結果から共通の問題点をいくつかを引き出して改善のポイントを以下に述べることとします。 |
乾燥装置の導入にあたって | 橋本彰 | No.2 | 5-6 | 1992 | 従来、建築用針葉樹材の多くは天然乾燥でしたが、建築工期の短縮、建築工法の変化などから乾燥材に対する認識が高まっています。最近ではプレカットや集成化などの高次加工も増えてきており、乾燥材の供給が追いつかない状況です。しかも、県内の賃乾工場は、現在ほぼフル稼働状態で、容量が満たない場合や時間的に間に合わない場合は断ることが多く、引き受ける場合もロットは乾燥機容量に合わせてもらっているのが実状です。このような状況のなか、これから乾燥装置の導入を検討している企業も多いと聞きますので、装置の選定にあたってのポイントについて、簡単に触れたいと思います。 |
帯鋸へのヤニ付着防止装置の試作について | 島崎鶴雄 | No.4 | 4-5 | 1992 | 通常、帯鋸による挽材を続けているうちに、鋸歯のアサリ切尖が摩耗するにつれて切れ味は低下してきます。切れ味が悪くなったり、鋸を替える時間は普通鋸(SK5)で1.5〜2時間とみられます。現在、一般的なステライト盛金鋸歯の使用による挽材作業の場合には、鋸条件と挽材条件によっても異なりますが、鋸替えなしで1日の挽材も可能です。しかし挽材時には、金属片や小石(砂)等の異物の混入による歯先の欠けの発生等のほか、ヤニ分の多い材の場合には鋸へのヤニ・鋸屑微粉付着による切削障害が起き、鋸本来の切れ味を十分に発揮できずに鋸の寿命を終えることがあります。このような鋸歯の寿命低下は、挽材作業能率の低下や製品の挽肌・精度不良を招く原因となることはご承知のとおりです。 |
外構材の耐久性について | 長谷川益夫 | No.5 | 5-6 | 1993 | |
カラマツつき板に発生した鉄汚染の除去について | 高野了一 | No.6 | 5-6 | 1993 | |
北洋材の乾燥について | 橋本彰 | No.7 | 5-6 | 1993 | 本県の北洋材業界においては、タルキ、胴緑、貫などの小割製品の生産が大勢を占めており、これらの製品に市場競争力をつけるためには、低コストで乾燥材化することが必要です。そのための方法として乾燥時間の短縮、エネルギー費の節減が考えられます。そこで、エゾマツの高温乾燥による短時間乾燥法と、熱源に太陽熱を利用した低コスト乾燥法の試験結果の一部を紹介します。 |
針葉樹材の表面強化 | 高野了一 | No.8 | 5-6 | 1993 | |
樹皮炭化物の製造 | 高野了一 | No.9 | 3-4 | 1994 | 近年、木炭はその優れた通気性、保水性、吸着性などが見直され、土壌改良材、水浄化材、床下調湿材、消臭材などの新しい用途が伸びています。これら新用途に使用される木炭は、従来の切り炭のように形状が整った高品質のものでなくてもよく、チップ状、オガ粉状のものでも利用できることから、工場廃材である樹皮も原料として有望といえます。ここでは、北洋材及び県産材樹皮の炭化物利用を目的に、樹皮炭化物の基本的性質及び効率のよい工業的炭化法について検討してみました。 |
製材小割工程の自動化システムの開発 | 坂井正孝 | No.11 | 2-3 | 1994 | |
パーク堆肥を用いた水稲育苗法の開発 | 田近克司 | No.12 | 3-4 | 1994 | 現在、水稲苗は山砂を加工した床土を用いて育てる方法が広く行われています。しかし、床土は重いため田植え作業が重 労働となるのが難点です。そこで、床土に比べ軽く、通気、保水性等に優れたパーク堆肥を育苗用培地に利用する方法について農試と共同で試験を進めていますので、紹介します。 |
製材装置に付着するヤニの防止策 | 水本克夫 | No.13 | 3-4 | 1995 | |
スギ内壁材の開発 | 高野了一 | No.14 | 2-3 | 1995 | スギ材の主な用途は建築用柱材ですが、木目が美しい、材質に暖かみがある、肌ざわりがよいなどの特徴があり、内壁材にも利用されます。一般には、表面をプレーナがけした平板形状での利用ですが、ここではモルダーで材表面を波状に加工し、意匠性の付与とスギ材の質感、むく材使用の量感を活かした内壁材を開発しました。また、スギ材は優れた特徴を持つ反面、辺・心材の色調の差が大きい、材質が柔らかく傷が付きやすいなどの欠点があり、これを改善した神代調仕上げの内壁材および表面樹脂加工仕上げの内壁材についても開発しました。なお、これらは富山県地域材ブランド化促進事業(県林政課)の一環として行いました。 |
シベリア産エゾマツの強度性能 | 中谷浩 | No.16 | 2-3 | 1996 | |
スギ柱材の高温乾燥 | 橋本彰 | No.17 | 2-3 | 1997 | スギ柱材は、そのほとんどが心持ち材であり、心材部の水分移動性の低さによる水分傾斜の増大、および接線方向と半径方向の収縮量が異なることから、乾燥による割れが生じ易いことが知られています。そのため、スギ柱材の乾燥は、標準的には60〜70℃、高くてもせいぜい80〜90℃の温度域で行われるのが一般的であり、生材から含水率20%まで低下するのに要する日数は、前者で約20日間、後者でも約10日間と長い時間を要しているのが実状です。しかし、近年、乾燥日数を短縮する方法として、100℃以上の温度で乾燥する高温乾燥法が注目され始め、いろいろ試みられるようになってきています。当場におきましても、今年度から高温乾燥装置を用いて、「大壁工法用スギ柱材の乾燥技術の確立」というテーマで、スギ柱材の乾燥スケジュールの検討を行っているところであり、本報告では、これまで実施した結果の一部を紹介します。 |
フィルム転写による住宅用内装材の開発 | 藤澤泰士 | No.18 | 2-3 | 1997 | 一般の住宅用内装材は、トータルコーディネートの観点から、統一性のある風合い、色調などの高い意匠性のほか、汚れない、傷つかないなどの表面機能性が求められています。一方、最近の住宅展示場や建材展示会などでは木材を内装表面に使用する例が多くなってきています。特にここ数年は、スギ材や外国 の針葉樹材を使用した建材が多く使われるようになってきました。今後、これら針葉樹材を使用した住宅用内装材が増加することが予想されます。当試験場では、スギ、マツなどの針葉樹材の持つ意匠性(木目、光沢感、艶等)や調湿性などを生かしたまま、均一に色調整し、かつ耐汚染性などの機能性を付与できるフィルム転写による表面化粧技術を開発しましたので紹介します。 |
材内含水率分布の連続測定法 | 坂井正孝 | No.20 | 2-3 | 1998 | |
スギ丸棒加工材の保存薬剤注入性 | 栗崎宏 | No.21 | 2-3 | 1999 | 県産スギ間伐材から製造される丸棒加工材は、主に木製遊具、森林土木資材などのいわゆる屋外木製品(エクステリアウッド)に使用されます。屋外では、木製品が日光や風雨に直接さらされ、地面に接する場所にも使用されるため、スギの場合4〜5年で腐朽や蟻害が起こります。したがって、これ以上の耐久性が必要な場合には、防腐薬剤を注入して保存処理を行います。保存処理した材は、薬剤成分が辺材全域に浸透していれば10〜15年の耐用年数を期待できますが、注入が不十分で浸透むらが多ければ5年未満で腐朽することもあります。つまり、保存処理材の耐朽性は、薬剤の注入状態によって大きく左右されます。そこで、スギ丸棒加工材の薬剤注入性が、材料の乾燥度や長さによりどのような影響を受けるのか調べてみました。 |
スギ丸太の製材歩留りと製材品の品質 | 島崎鶴雄 | No.22 | 3-4 | 1999 | 従来から富山県では、スギ材を住宅の材料として、広く用いてきましたが、製材市場の価格低迷により、丸太の出材が遅れています。そのため、林地には、柱適寸径(14p以上20p未満)を超える径級の丸太が次第に増加しています。平成8年度の県産材利用促進研究会(林政課)が実施した、県内の製材工場における「県産材使用実態調査」では、取り扱われたスギ丸太のうち、柱適寸径の丸太は、24%程度にすぎません。そこで、このような林地のスギ丸太(径級18〜22p)から、心持ち柱、平割、板類を木取りした場合の採材製材品の歩留りと構造用製材のJAS(乙種)、および下地用製材のJASによって評価した結果について報告します。 |
北洋材や県産材を溶かして接着剤などを製造できないか | 鈴木聡 | No.23 | 2-3 | 2000 | 近年の環境意識の高まりから、様々な廃棄物のリサイクル利用が求められています。富山県内においても、北洋材等の製材に伴う大量の鋸屑やプレーナー屑、また林地残材等が排出されています。しかし、現在これらの用途は限られています。木材中に固定されている二酸化炭素を安易に放出しないためにも木質廃棄物の新たな利用法の検討が望まれます。これら木質系廃棄物の利用法の一つとして、液化する方法があります。木材は普通に加熱しただけでは融けることはありません。しかし、フェノールなどの薬品を加えることで、比較的容易に液化できることが見いだされました。木材が液状になれば、現在石油を原料としているプラスチック製品などを、木材を原料として作ることができます。しかし木材を液化するにはややコストが大きくなるため、北洋材、県産材に対して実用化を図るためには、北洋材、県産材にとって有利な液化条件を見いだすと共に、コストダウンの手法を開発する必要があります。今回は、まず北洋材、県産スギ等のフェノールによる液化について適正条件等を調べました。 |
スギ集成木製サッシの開発 | 長谷川益夫 | No.24 | 3 | 2000 | 木製サッシ業界では、一時期の住宅需要の落ち込みに対応するため差別化製品の開発に関心が高まっていました。とりわけ防火、耐久性能付与への関心は、意匠性につぐ高さでした。一方、県産スギ曲り材は節が多く、目切れが発生しやすいため、用途が限られていました。そこで、短尺材(ラミナ)を採材した後に難燃薬剤を注入、接着集成することによって防火性を付与し、さらに保護塗装を行って耐久性を高め、実用性のある乙種防火木製サッシの開発を試みました。 |
シベリア産カラマツ材のねじれ抑制乾燥 | 橋本彰 | No.24 | 4 | 2000 | 昨年6月に「品確法」が成立して以降、製材工場に乾燥材の注文が増えています。カラマツ構造材の生産工場がこのような注文を受けた場合、従来の中温域で乾燥する方法では製品に著しいねじれが発生するため、乾燥後に修正挽きなどをおこない、住宅メーカーなどに納材しています。しかし、このような方法では歩留まり低下や生産効率の低下が避けられません。そこで、当場では高温処理と蒸煮処理および高い圧締力を乾燥中のカラマツ材(10.5cm角、心持ち材)に負荷し、それらがねじれの抑制に与える効果について試験したので、その内容を報告します。 |
グライド抑制用木製構造物の試験施工 | 柴和宏 | No.25 | 4 | 2001 | 昨年までの林業試験場でのグライド抑制用木製構造物に引き続き、今年度、木材試験場で新たな構造物を開発しました。さらに、砺波農地林務事務所治山第二班のご協力を得て、利賀村上畠地内で、この構造物の試験施工を行いました。 |
温冷浴によるスギ材の簡易防腐処理技術 | 栗崎 宏 | No.25 | 5 | 2001 | 「木材は不均一な材料である。」これは、木材を他の材料と較べた場合、よく言われることですが、耐朽性に関してもあてはまります。すなわち、辺材は腐朽しやすく、心材は比較的腐朽しにくいという性質をもっています。木材の耐朽性はその心材率に左右されるため、スギ間伐材のように個体ごとの心材(」)率のばらつきが大きな材料の場合、その耐朽性は辺材なみと考えるのが安全です。しかし、辺材は薬剤が浸透しやすいという性質を持っていますので、簡単な方法で辺材に防腐剤を浸透させるだけでも、スギ間伐材の耐朽性を心材なみに均一化できると考えられます。そこで、スギ辺材への防腐処理を目的に、温冷浴という簡易処理法の検討に着手しました。 |
県産スギを用いた長スパン床トラス梁の開発 | 中谷浩 | No.26 | 3 | 2001 | 可変型空間用の長スパン床トラス梁構造の開発を行っています。 |
スギ林地残材の乳牛糞尿堆肥副資材としての利用 | 高橋理平 | N0.26 | 4 | 2001 | |
木造住宅の新しい制震工法の開発 | 園田里見 | No.27 | 5 | 2002 | 簡易で新しい木造住宅用制震工法を紹介します。 |
スギ間伐材を用いた海岸防風柵の開発 | 島崎鶴雄 | No.28 | 3-4 | 2002 | 富山県の海岸防風柵は、金属製のの有孔折板などが用いられてきましたが、近年、自然景観への配慮や工事経費の縮減および間伐材の利用拡大などの観点から、木製の防風柵に切り替えられています。しかし、より構造安全性に優れ、かつ防風効果の高い木製海岸防風柵を開発して欲しいとの現場からの要望に応えるため、新たに改良型の木製防風柵を開発しましたので、その試験施工事例を紹介いたします。 |
強化LVLを用いた高性能木質床梁の開発 | 柴和宏 | No.29 | 4-5 | 2003 | |
伝統的な接合方法の強度性能 | 中谷浩 | No.30 | 5 | 2003 | こみ栓型接合法の耐力性能について述べます。 |
木質廃材の部分液化技術による生分解性成形品の開発 | 鈴木聡 | No.31 | 2-3 | 2004 | 木質系廃材を簡易かつ比較的安価な方法で液化する手法として、部分液化技術の開発を行い、さらに部分液化物を成形加工する技術の開発を目指しました。 部分液化技術とは、木質系廃材の素材を残しながら表面のみ部分的に液化する技術です。 部分液化技術を利用すれば、@液化に必要な薬剤及び熱エネルギーの少量化が図れること、A処理時間の短縮が図れることなどから、製造コストが低くなり、実生産がしやすくなると考えられます。また、木材を原料にすることから、優れた生分解性の成形品、ゼロエミッション製品を安価に製造することができると考えられます。 |