木試便り No.21

 最近の健康対応建材について

                                製品開発課 藤澤泰士
 

 はじめに

 住環境に対する関心が高まるにつれ、当試験場にも、ホルムアルデヒド,トルエンなどの有機揮発成分(VOC)の除去方法や内装壁材の調湿性など、健康に係わる技術相談が多くなっています。
 そこで、平成10年に開かれた各種建材展示会の出展状況から、健康住宅に対応した建材について調査しました。

1.VOC対策建材

 シックハウス症候群(住宅内における化学物質過敏症)の問題から、VOC対策建材が注目されています。
 特に、合板用接着剤の脱ホルマリンへの取り組みは先行しており、内装建材にイソシアネート系接着剤などを用いた合板の利用例が多くなってきました。
 塗料では、有機溶剤に替わって水系または天然精油系を用いることが検討されています。これらは住宅のリフォームおよびDIY分野など、実際に住んでいる場所の塗装・改装に使用されています。しかし、有機溶剤を用いた既存製品と比較して、付着力が弱い、乾燥性が悪いなどの課題もあります。
 さらに、住宅内のVOCおよび臭い成分を除去する対策として、炭化物を用いた脱臭壁紙や床下吸着材が開発されています。

2.住環境を改善する建材

 室内暖房において、床暖房および天井暖房が増えてきました。特に、ガス、電気などで加温した温水を木質系床パネルに循環させる方式が主流になっています。
 また、土壁や木材の湿度調節機能を生かした漆喰パネル、木質パネルなども開発されています。これらの製品は、簡易施工用建材として製品展開を図っています。
 室内換気に関連した製品も多く、自然に通風するドア,窓、熱,音を逃さない通風口など、ランニングコストのかからない自然換気が注目されています。

3.新しい機能が付与された建材

 防ダニおよび防カビ製品が、床,壁,畳を中心に開発されています。特に、ヒノキチオールやα−ピネンなどの精油成分が注目されており、畳床にヒノキ屑を用いた畳など、多種多様の製品展開が行われています。これらの製品は、アトピー性皮膚炎の防止にも効果があるといわれています。
 また、公共施設、病院などを対象として、抗菌剤に銀ゼオライトを用いた抗菌手すり、抗菌床、抗菌壁紙も開発されています。 
表 主な健康対応建材
分 類 開発項目 製  品
VOC対策  脱ホルマリン
脱有機溶剤
分解脱臭
吸   着
イソシアネート合板
天然精油塗料
脱臭壁紙
床下吸着木炭
環境改善  温度調節
湿度調節
室内換気
床・天井暖房
漆喰パネル
通風ドア
機能性付与  防ダニ
防カビ
抗菌 
ヒノキ畳床
防カビ壁紙
手すり,床,壁紙